離婚関係の依頼は、妻側からなされることが多いのですが、まれに、夫側からの依頼もあります。今回は、離婚の明確な理由(不貞や家庭内暴力、経済的虐待など)がない夫側からの依頼のケースを見ていきましょう。
夫(相談者):
家庭裁判所から調停期日の呼出状(※1)が届きました。妻からの突然の離婚要求に、どう対応すればよいでしょうか?
日下部:
「妻からの突然の離婚要求に」と仰るあなたは、離婚の原因となったご自身の日頃の言動を自覚されていないのでしょう。一つ一つは日常生活の些細な出来事だったかもしれません。しかし、不平・不満が積もり積もって妻の我慢の限界を超えたとき、結婚生活が破局を迎えてしまうのです
夫:
これまでずっと、家庭を支えるために一生懸命働いてきました。浮気もしたことがありません。それなのに一方的に離婚を申込むなんて、妻はあまりにも我儘ではないでしょうか・・・。離婚したいのであれば、少なくとも妻の口から理由を知りたいと思います。私が妻の気に障るようなことをしていたのであれば、これを機に反省して直していきたいと考えております
日下部:
実際のところ、あなた(夫)の言い分を実現していくことは容易ではありません。裁判所に離婚調停を申し込んでいる時点で、妻側の決心が固いためです。そのため、「私がワガママでした」と妻が折れる事例は滅多にありません。まして、離婚したい理由を妻が懇切丁寧に説明してくれるケースもほとんどありません。「今となっては夫の全てが嫌いだから」と言われてしまうことすらあります。
では、あなたはどうしたら良いのでしょうか。一度離れてしまった気持ちを元に戻すことは容易ではありませんが、妻と誠実に向き合い、妻と家族を大切に思っていることを伝えましょう。もしそれでも、離婚する以外の選択肢が見出せなくなってしまったなら、気持ちの整理はともかく、結婚生活に区切りをつけることを考えなければなりません。離婚によって人生が終わるわけではないのですから、5年先・10年先を見据えて行動することが大切です
夫:
私には妻との間に子供が二人おります。離婚することになった場合、養育費や子供の親権は、どのように決めれば良いのでしょう?
日下部:
子供がいれば、子供との関係が一番問題です。夫婦の関係は元に戻らないかも知れませんが、子供との縁が切れることはないのです。子供に降りかかるダメージは、精神面と経済面において、できるだけ小さくなるように配慮しましょう。そのためには婚姻費用(※2)や養育費のことだけではなく、面会交流のことも考える必要があります
今回のまとめ:
離婚に際して、考えなければならないことは、意外と多いもの。ですから、早い段階で専門家に相談することが大切です。良い専門家にあたれば、あなたの話を根気よく聞いて、納得がいくまで付き合ってくれるでしょう。それでは、これからも、Good Lifeを!
【用語解説】
(※1)調停期日の呼出状:離婚調停の第一回目の調停日を知らせる封書。申し立てされた相手方はいつ申立人が離婚調停を申し込んだのか分からないことが多い。そのため家庭裁判所から調停期日の呼出状が届くと戸惑うことがある
(※2)婚姻費用:通常の家族が生活していくために必要な費用。別居中であっても婚姻関係が続いている間は、婚姻費用を分担しなければならない。分担額は夫の収入・妻の収入・子どもの養育費等を考慮し算出される
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