法律相談を成功させる鍵

こんにちは、日下部です。「餅は餅屋」といいますが、社会的なトラブルに遭遇した際は法律の専門家に相談するのが、解決に向けた一番の早道です。そこで頼りにして頂きたいのが、私たち弁護士。今回は、弁護士との法律相談を成功させるコツについてお話しましょう。

 法律相談とは何か。弁護士がクライアントから相談内容をヒアリングし次のような回答を示すプロセスのことを指します。

 

♦ どこにどのような問題があるのか

♦ その問題は法律的に解決できるか

♦ どのような法律が適用できるか

♦ どのような解決策を導き出すのがよいか

 

 トラブルを引き起こした問題の本質を明らかにすることが、初回の法律相談の重要なゴールです。これにはそれなりの時間を要するのですが、最近は電話やメールでの相談を希望される人が増えています。また、対面での面談を必要とせずにメールで簡単に相談できることを謳い文句にする法律事務所が増えているのも事実。しかし実際は、電話やメールでの相談では適切な回答を示すのは難しいと考えます。

 

その理由は、メールや電話を使った短いコミュニケーションだけでは問題の全体像を把握しづらいからです。問題をとりまく事情は個々の事例によって異なります。前提となる条件が見過ごされていて、ヒアリングをしていく中で明らかになることも度々あります。企業ですと、業界での立ち位置や規模・組織の内状にも踏み込んだヒアリングをしなければ、全体像が見えてきません。

 

 

 大抵のトラブルには、複数の解決策が存在します。数ある法制度や事例の中から似ているものはどれで、どのような法律が適用できるか判断をするのですが、電話や電子メールでのやりとりだけでは、なかなかそこまで到達できないのです。

 

ひとつ面白いエピソードを紹介しましょう。かつて民法学の大家と言われた東北大学の教授が、試しに司法試験にあるマークシート方式の5択問題を解いてみたところ、25問中ただの一問も答えられなかったのです。

 

大先生に言わせると、思いつく解決案が沢山あって問題文の内容だけでは回答を絞り込めない、ということでした。

 

私は大先生ほど思いつかなかったので無事に合格できましたが、やはり実際の相談では複雑な要因と向き合うことになります。

 

相続と登記の問題に携わっているときに「まだ条件が整っていないのではないでしょうか?」と相談者に質問したところ、「何人もの弁護士に相談しましたがそんな質問をされたのは初めてです」と言われました。結局、他の弁護士が聞いていなかった条件が残っており、それが判明したことで解決の糸口が掴めました。

 対面で相談するメリットは他にもあります。弁護士の意図が正しく伝わっているかを表情から読み取って説明の仕方を変えてみたり別の方法を提案できることが挙げられます。そのため、経験を積んだ弁護士ほど初回の相談は対面にこだわることが多いのです。TVの医療系番組で、名医の診断で本当の病気が判明するところをイメージしていただければ良いかと思います。

 

もっとも、過去に依頼を受けた方や顧問先の企業からの相談には、電話やメールで対応することもあります。既に相談者の事情や前提条件が理解できているので、法律論だけを考えれば済むからです。

 

 近頃はリモートワークも一般的になってきました。対面とはいかなくてもパソコンの画面越しに顔を見ながらの相談が可能になりましたから、今後もリモートでの相談が普及していくことでしょう。では最後に今回のポイントをまとめます。

 

◎ 法律相談は、初回の相談を成功させることが最も重要である

◎ 電話やメールの相談だけでは、初回の相談は成功しにくい

◎ 対面での法律相談には、相談者の理解度に合わせて進めていけるメリットもある

◎ オンラインで顔を合わせた相談も可能になった

 

ご相談はお早めに。それでは、これからも、Good Lifeを!